日本語教師の歩き方

日本語教師のお仕事や大学院生活などを実体験に基づいてレポートするブログです

日本語文法の教え方②(「は」と「が」の違いって?)

みなさん、こんにちは。

いかがお過ごしでしょうか?

もうすぐGWですね!

この間まで、コートが必要だったのに……

 

さて、宿題の

 ① 「あそこにコンビニあります。」

 ② 「コンビニあそこにあります。」

の違いはわかりましたでしょうか?

 

これはおそらくどの教科書でも、早い段階で出てくる大切な

「あります/います」の文法項目です。

 

そして、多くの学生が「は」と「が」を初めて並べてみることになり、

 

『違いはなんだ―――!!!!』

 

と、先生に詰め寄ってくる学生も出てきます。

それは、できる学生ほど気になる。

 

みなさんは、いつ「〜があります」「〜はあります」を使いますか?

それでは、会話文で感じてみてください。

 

 

(今、8月です。田中さんと鈴木さんは営業先から会社に戻る途中です)

 

田中:のどが渇きましたね。

鈴木:そうですね…帰る前に、何か飲みたいですね。

   喫茶店ありますか。

田中:ん〜喫茶店ありませんね。

鈴木:そうですか。じゃあ、コンビニありますか?

田中:コンビニありますよ。でも、ここから遠いですよ。

鈴木:(何か飲みたいな…あれ? あそこに見えるのは、もしかして…」

   田中さん、コンビニありますよ!!

   ほら、あそこに!

田中:あ、本当ですね! 飲み物を買いましょう!

   

 

 

どうでしょうか?

なんとなくでも気づきがありましたか?

この場合、「は」は「古い情報」、「が」は「新しい情報」として私たち

日本人は選択しています。

文法的に「は」「が」の役割を説明すると、

 

「は」・・・主題(topic)、対比、古い情報 など…

「が」・・・主語(subject)、強調したいとき、新しい情報 など…

 

 

改めて会話文を見ていただくと、なんとなくわかると思います。

 

(動物園で、お母さんが、子どもに話しかけている)

 

母:あ!見てみて!ライオンがいるよ!

子:本当だ!ライオンいる。

  ライオンいるけど、キリンいないね

母:そうね。キリン、別の場所にいるから、行きましょう。

 

下線部の部分は、対比の「は」になります。

文脈によって、「は」も「が」も役割が変わってくるので、

簡単に「は」も「が」もどちらでも良いよ♪ とは言えません…😅

 

日本人は感覚的に使い分けていますが、

外国人は感覚的には使い分けられませんので、

ぼんやりとでも、この概念を頭に入れてもらうのです。

 

 

①私医者です。

②私医者です。

 

「は」と「が」を入れ替えただけなのに、印象がだいぶ変わってきますね。

①は初めて会った人に職業を聞かれているシーンとか、

飛行機で急病人が出て「お医者様はいらっしゃいますか〜?」

なんて思い浮かべますが、

②は「隣の人じゃないよ。私だよ!」と言っているニュアンスなので、

自己紹介を間違えられてしまったシーン、

そして、自己主張激しい人みたいな印象を受けてしまう。

 

 

「は」と「が」のミスなんて初級レベルだと、かわいいミスですが、

中級以上をになると、会話で「ん?」ってなります。

だから、こちらも厳しく指摘します。

 

「は」「が」だけでなく、その他にも

「へ」と「に」と「で」の使い分けももちろん理論的に教えていきます。

 

一朝一夕に身につくものではないので、

トライ&エラーの繰り返し。

気づかせて、自己訂正させる……語学学習は根気がいりますね。

 

 

 

必死な彼らを見ていると、

たま〜に、

 

「よかった、日本人で…私が外国人だったら、絶対日本語は選びたくない」

 

と思ってしまうのと同時に、

 

「私の英語ってどんなふうに聞こえてるんだろう…(T_T)

英語を話すとき、前置詞とか三単現Sとかをちゃんと正確に言おう…」

 

と、心で思っています。

 

 

4月から教えている学生が、ひらがな・カタカナを習得して、

いよいよ漢字の授業に入ります。

3ヶ月はあっという間に過ぎますね…(*^^*)

 

ああ、夏がやって来る……