日本語教師の歩き方

日本語教師のお仕事や大学院生活などを実体験に基づいてレポートするブログです

日本語文法の教え方①(直接法について)

みなさん、こんにちは。

気づけば、もう4月も半ばですね…

春が終わって、だんだん、あつ〜い夏が近づいてきます……

 

さて、今回は、《日本語文法の教え方》について、

ざっくり説明したいと思います。

 

日本にある日本語学校の多くは、文法を【直接法(Direct method)】

で、教えています。

 

【直接法(Direct method) 】というのは、

「習得したい言語を媒介語を使わずに習得する」

方法で、簡単に言うと「日本語を使って、日本語を教える」ことです。

その反対が【間接法(Indirect method) 】で、これは日本の中高の英語教育

みたいに、「日本語を使って、英語を教える」ことです。

 

 

 

――え?!日本語で日本語を教える? どうやって???

 

 

と思われるかもしれませんが、

幼児教育のように、『絵』を使って、ひたすら日本語を浴びせます。

 

――え?「絵」ですか?

 

はい、絵です。アナログです。

 

 

ロスタートの初級クラスでは、まず『自己紹介』と『挨拶』と『ひらがな』!

 

「はじめまして。私は____です。どうぞよろしくおねがいします。」

 

このフレーズを、ゆっくり単語ずつからリピートさせて、

文にしていき、つなげます。

「どうぞよろしくおねがいします」は学生によっては、なかなか言えません。

何度も覚えるまで練習し、ペアで自己紹介しあいます。

できるまでだいたい5分〜10分かけます。(学生にによりますが)

 

――え?毎回こんなことを? こんなんじゃ、いつまでたっても進まないじゃん!

 

そうですね。

だから、一日導入する文法は学校のカリキュラムによりますが、だいたい1〜2個

ぐらいです。

一日の授業は、45分授業×4コマ(学校によって50分だったり)で、

漢字1コマ、文法2コマ、残り1コマを聴解、読解、作文などにしています。

つまり、留学生は日本語学校に丸一日通っているわけではなく、

授業は午前か午後のどちらかしかないのです。

 

 

ではもっと具体的な話をしましょう。

この絵を見て、会話を想像してみてください。

 

 

 

f:id:itousagi:20180415230851p:plain

 

ここはどこでしょうか?

 

―カフェ?

 

そうですね!カフェです。すばらしい!←褒めもポイントです!

 

はい、絵を指しながら、こんなやり取りをして、

学生にシチュエーションを想像してもらいます。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/i/itousagi/20180415/20180415230851.png

先生:ここは?(→絵を指しながら)

学生;カフェ?

先生:そうですね。カフェです。

学生:これは?(→カップを指しながら)

学生:コーヒー?

先生:そうですね。コーヒーです。じゃあ、これは?

学生:Sugar?

先生:(女の子を指しながら)すみません、これは砂糖ですか?

   (店員を指しながら)いいえ、それは砂糖じゃありません。塩です。

 

 

こんなかんじで、学生とやり取りしながら、文法を導入していきます。

(この絵は「これは__です。」「それは___です。」の文法導入です。)

 

――どうして「英語」で教えないの? 非効率じゃない?

 

日本語学校に来る学生は、英語が話せる学生ばかりではありません。

『英語』を話せるなら、日本に来ないよ!!って中国の学生に言われたことも

ありますし、実際、日本人だってみんな英語を話せませんよね?

私自身も、英語が話せるかというと、旅行に行って困らない程度レベル…

それに、「英語」では伝えられない語彙もたくさんありますから、

日本語で教えるほうがよかったりします。

 

――絵を使うの大変じゃない?

 

はい。とても大変です。

この絵も自分でかきました。

日本語教師をしている人はたぶん、「イラストや」さんに

大変お世話になっているかと……(汗)

 

昔は、一枚一枚絵を手書きしていたようですが、

今は、絵カードも印刷で大量に作れますし、パワポkeynote

プロジェクターで投影できるので、随分コストも時間も削減できます。

絵教材もCDーROMで販売されていたりもします。

実際私は、ipadを使って絵を投影し授業をしています。

 

でも、授業準備にものすご〜く時間がかかるのは変わらないです。

特に日本語教師なりたてのときは、本当に大変でした。

絵教材から、文法の使い方や注意事項、意味など調べたり、教案を書いたり…

始めの頃は、一日4コマの授業準備に、半日〜丸一日かかってました。

日本語教師は、自分の書いた教案が貯まるまでの数年が大変だと、

日本語教師養成講座の先生が言ってましたが、実際そうだと思っています。

個人的に、日本語教師はデザイナーや職人だと思っています。

 

 

――でも、日本語教師の時給って高いでしょ?

 

いいえ。そんなことはありませんよ。

コンビニアルバイトよりは高いですが、だいたい1500円〜1800円

ぐらいです。(勤める学校や教授年数などによって異なる)

でも、準備の時間を加味すると、『時給100円?!』じゃん!

って、思ったときもしばしばあります。

授業準備だけでなく、宿題の添削や、テスト作成などもありますから、

授業以外のほうが大変だね、って言う方もいます。

 

 

日本語教師も『教師』ですから…ある程度は仕方ないとは思いますけど、

もう少し待遇がよくなるとうれしいな〜

なんて。

 

――でも、日本語って日本人だから誰でも教えられるでしょ?

 

私もこの世界に入るまで、そう思ってました。

そんな甘い世界ではないのですよ〜実は。

 

じゃあ、みなさんに宿題です。

あなたには外国人の友人がいます。

彼は、今日本語を勉強していて、以下のことを聞かれました。

みなさんはどう説明しますか?

 

 

外国人:〇〇さん、

   「あそこにコンビニがあります。」と「コンビニはあそこにあります。」

    を勉強しました。「は」と「が」は違いますか?

 

あなた:それはね〜

 

 

 

 

私の答えは次回に♪