日本語教師のお仕事(授業:ことばのレッスン②(形容詞))
みなさま、こんばんは。(^o^)
今回は、前回に引き続き、ことば(語彙)の教え方です。
前回は絵を見せて教えるという話をしました。
突然ですが、
頭に思い浮かぶ『形容詞』を5つ挙げてみてください!
紙に書き出せる人はぜひ紙に書き出してみてください。
何を思い浮かべましたか?
意外と今の自分の気持ちが現れていたり……いなかったり……
そう、今回のテーマは『形容詞』!
大きい、高い、きれい、しずか、やわらかい、つめたい、あつい等…
形容詞って抽象的で感覚的なものが意外と多いので、
絵では表せるものと表せないものがあります。
でも、気持ちを表すことって大事ですよね?
今私は「うれしい」のか?「悲しい」のか、「寂しい」のか、
周りにわかってもらいたいし、共感してもらいたい。
だから、日本語学校ではだいたい初級の始めぐらいに教えます。
そう、ひらがながやっと書けるようになったピヨピヨ学生の最初の試練!
なぜなら、日本語の形容詞は2種類ありますから!
みなさんは中学校で形容詞と形容動詞を習ったかと思います。
ここで、クイズです!この中で、形容動詞はどれでしょう?
「大きい、高い、きれい、しずか、やわらかい、つめたい、あつい、ハンサム」
答えは、「きれい」「しずか」「ハンサム」の3つです。
日本語教育では『形容動詞』ということばは使っていません。
これら全てを『形容詞』という品詞として教えます。
そして、国語の「形容詞」は『イ形容詞』、「形容動詞」は『ナ形容詞』
という呼び方で教えています。
「大きい犬」「高い山」「きれいな人」「静かな部屋」「ハンサムな彼氏」
そう、最後が「い」で終わるものは『イ形容詞』、
「な」で終わるものは『ナ形容詞』というルールですね!
これは外国人は丸暗記です!語彙ですから!
ひたすら覚えます。
「イ形容詞」なのか「ナ形容詞」なのか、ももちろん覚えてもらいます。
(どうしてかは、文法の授業のときにわかります♪)
この辺は日本人が英語を覚える時とほぼ同じで、辞書を使って覚えてもらうこともありますが、絵で表せるものは絵を使います。
『高い』は(値段が)高いと、(背が)高いと2種類あるので、
反対のことばがある場合は、一緒に導入しちゃいます。
例) (値段)高い↔(値段)安い
(山)高い↔(山)低い
きれい↔きたない
大きい↔小さい など ・・
ああ、英語もこうやって覚えればよかったなぁ〜と今更ながら思っています。
英語話者にとって「きれい」は厄介です。
日本語の「きれい」には「clean」「beautiful」の両方の意味があります。
そして、学習者の言語によっては、絵だけで見せると誤解が生じることもしばしばあります。
ここで、クイズです!
「おもしろい」「たのしい」「うれしい」の違いは何ですか?
これは、本当に初級あるある。
この質問は毎学期遭遇しますし、間違って使う学生も多いです。
私もはじめは冷や汗をかいて説明していました。
みなさんは、どういう時が「おもしろい」で、どういう時が、「楽しい」で
どういう時が「うれしい」ですか?
ベテランの日本語教師の先生から教えてもらったのですが、
言語習得は『意味』『形』『使い方』の3つが揃わないと、使えないそうです。
特に大事なのは『使い方』!!
いつ、どこで、だれと、どのような会話で使っているのかが大切。
英語もスペイン語もそれをもっと意識して勉強すればよかった〜!!😥
なんて……
これから、語学を勉強する方を、そこを意識されるといいと思います。
話をもどして、「おもしろい」「たのしい」「うれしい」の違いですが、
1)この本はおもしろい。(◯)この本はたのしい。(☓)この本はうれしい。(☓)
2)田中さんはおもしろい。(◯)田中さんはたのしい。(☓)田中さんはうれしい(?)
3)テニスはおもしろい。(◯)テニスはたのしい。(◯)テニスはうれしい(☓)
4)プレゼントはおもしろい。(☓)プレゼントはたのしい。(☓)
プレゼントはうれしい。(◯)
※文脈によっては(☓)にならないのは(?)にしています。
並べてみると、違いが見えてきませんか?
「おもしろい」はその物や人物についての説明のときに使います。
「たのしい」は何かアクションがあるときに使います。(テニスをする、ゲームをする、旅行をする→たのしい気持ちになる)
「うれしい」は(誰かから)何かをもたらされるときに生じる気持ちです。
「プレゼントをもらった!うれしい」とか「プロポーズされた!うれしい」「妹に赤ちゃんが生まれた→うれしい!」
文法書によってはいろんな説明があって、私の解釈は少しずれているかもしれません。
でも、だいたいこんな感じで、授業を乗り切ってます(笑)
「うれしい」はわかるけど、「おもしろい」と「たのしい」の違いが難しいようです。
言語によっては同じらしい・・・
中級の学生の作文を見ても誤用がちらほらありますよ。
でも、言語は間違えてなんぼです!
間違えないとおぼえませんから。
一つずつステップを踏むことが大事だなぁと、教えていて思います。
勉強に近道がないのはそういうことなんですね。😓